モスクワのアルバート通りで、初の武者行列!
スプートニク日本
https://jp.sputniknews.com/opinion/201909206690581/
モスクワのアルバート通りで、初の武者行列!
ロシアの秋を彩る日本の時代祭り
凛々しい武者たちに観光客から歓声
5日、モスクワの歴史ある歩行者天国「アルバート通り」で、日本の時代祭りが開催され、武者行列、武道パフォーマンスや着物ショー、太鼓演奏、茶道や華道、手毬作りの実演など、様々な日本文化が紹介された。秋を通り越して冬が来たかと思うほど冷え込んだ日曜日だったが、集まった日本ファンたちの熱気が寒さを吹き飛ばした。
アルバート通りはおそらくモスクワで一番有名な通りだろう。昔ながらの古い石畳におしゃれなカフェやみやげ物店が所狭しと並び、画家や大道芸人、ミュージシャンが集う。アルバート通りは、芸術家に愛された場所でもある。ロシア人が敬愛する詩人プーシキンと妻の銅像、プーシキンが住んでいた家を改築した博物館、トルストイやチェーホフといった文豪が通ったレストランなど、たくさんの名所がわずか1キロあまりの間につまっている。そんな、モスクワの心とも言うべき場所を、日本のサムライの大行列が練り歩いたのである。
凛々しい袴姿で行列を先導するのは、時代祭りの企画者で、モスクワの武道クラブ「マヤーク」(灯台道場)の館長、エフゲーニー・ニキフォロフさんだ。その後にはほら貝の演奏者や、鎧兜に身を包んだ若者たちが続く。カラフルな人力車でやってきたのは、ニキフォロフさんの師匠である島津兼治さん(柳生心眼流竹翁舎主宰)夫妻だ。行列で使われた甲冑などの衣装は、島津さんが少しずつ長い時間をかけて手に入れ、モスクワに運んできた。
花笠踊りのグループが、元気に合いの手を入れながら行列を進む。それに続くのは、手をふって歩く愛らしい子どもたち。男の子も女の子も、サムライ・コスチュームに満足げだ。色とりどりの着物を見にまとい、和傘をさして歩く女性たちの姿は、ひときわ華やかだ。行列はアルバート通りを往復し、通りの中央に設けられた野外ステージと合流した。
ステージでは時代祭りの開会が高らかに宣言された。特別ゲストの中には、駐ロシア上月豊久大使夫妻や、合気道の有段者としても有名な米アクション俳優、スティーブン・セガールさんの姿もあった。
ステージでは太鼓演奏や花笠踊りに加え、ニキフォロフさんの教え子による、あらゆる武道パフォーマンスが披露された。ニキフォロフさんの道場では空手、合気道、弓道、居合道といった武道を幅広く学ぶことができるほか、茶道、華道、書道、水墨画の講座もある。武者行列に参加した青年や子どもたちは、みんなニキフォロフさんの弟子である。武道パフォーマンスはスピード感にあふれ、鬼気迫る真剣なもので、日本武道の真髄をギャラリーに見せ付けた。最後にはニキフォロフさん自らコンクリートを素手で破壊し、大喝采が上がった。
着物ショーでは、それぞれの着物の役割や時代背景について、山田みどりさんから説明がなされた。山田さんはあらゆる伝統文化に精通しており、モスクワで日本文化をたしなむ人の間では知られた存在だ。花笠踊りも山田さんの指導によるものだ。ステージの隣では、やはり山田さんの弟子たちが茶道のお点前を披露した。お茶会の隣では、寒さに指先を震わせながらも、ひと針ひと針、丁寧に手毬を作る職人の姿があり、その手仕事に魅せられた女性たちで賑わっていた。
アルバート通りで日本の時代祭りを行なうことは、ずっと私の夢でした。15年間もこれについて考えていたんですよ。島津先生に日本に招待してもらい、町田時代祭りに参加したこともあります。靖国神社の行列にも参加しました。そこから、これをモスクワでもやりたいと願い続けてきました。今年、とうとう夢がかない、沿道の皆さんも喜んでくださって、満足です。本当に何かを実現したければ、それは実現できると確信できました。ただ、今朝は5時から準備して、昨日も一日中準備していたので、まだ仕事モードで、夢をかなえた実感はこれからわいてくると思います。
ニキフォロフさん